若林隆久@経営×教育×地域×育児

高崎経済大学地域政策学部准教授の若林隆久のページです。経営学、組織論、ネットワーク論を専門とする研究者・大学教員が、研究、教育、学内外での活動、本・論文、地域、子育て、などについて書いていきます。

安定して働くとはどういうことか?

ディスカッション・テーマ:「若者が安定的に働くための対策」

あけましておめでとうございます。
2019年初回のゼミでは、若者が安定的に働くためにはどうすればよいかについてディスカッションしました。

テキスト:海老原嗣生(2012)『雇用の常識 決着版:「本当に見えるウソ」』筑摩書房ちくま文庫). 検証⑩~⑭(pp. 108-162).

Overview(概観)

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学生による議論ではありますが、企業側は既に様々なアプローチをしてくれているので、学生側がもっと考えるべきではないかという結論に至ったのは意外といえば意外です。

学生は勝手なイメージを抱いてしまっている(例:職種や業種に対する偏見、新卒採用で失敗したら終わり)という指摘や、3年から就職活動を始めるのでは難しいので1・2年次の早い段階から取り組めるように支援をして欲しいという大学への要望は、大学その他でキャリア教育・キャリア支援に関わる人間として非常に参考になりました。

Pick up:安定して働くとはどういうことか

ディスカッションの中で言及されたものの、議論の流れ上あまり深められなかった内容として、安定して働くということはひとつの企業に勤め続けることではないのではないか(転職してもよいのではないか)ということがあります。

たしかに、転職の有無や回数だけに着目すると見落としてしまうこともあります。
他の会社でやっていく能力がなくひとつの企業にしがみつかなければならない人よりも、転職を何度もしていたとしてもどこでもやっていける能力を持っている人の方が、安定的に働けていると言えるでしょう。

いわゆる「手に職を持っている」とか「自分の腕でやっていける」という状態です。

エンプロイアビリティ(employability、雇用され得る能力)という概念も一時期からよく耳にするようになりました。

一方で、統計をみれば、全体の平均値として転職回数が増えるほど収入が少なくなるというデータもあります(ただし、過去のデータでこれからは変わるかもしませんし、当然収入が増える転職者もいることには注意)。

転職もどんどん一般化している中で「新卒採用で失敗したら終わり」なんてことはまったく思いませんが、かといって「新卒採用なんていい加減でいい」とも学生に言えないわけです。当たり前ですが、行きたい企業に入れるに越したことはないわけですし、転職がそれほど気軽なものでもないとも思うからです。

いずれにせよ、転職するかどうかだけではなく、安定的に働ける(収入が得られる)ような状態(能力、人脈、複数の収入源、夫婦共働きなど)を達成することが、安心して生きていくためには大事かもしれません。

Other

サプライズで誕生日祝いのケーキを頂きました。
ありがとうございます。

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