若林隆久@経営×教育×地域×育児

高崎経済大学地域政策学部准教授の若林隆久のページです。経営学、組織論、ネットワーク論を専門とする研究者・大学教員が、研究、教育、学内外での活動、本・論文、地域、子育て、などについて書いていきます。

2020年度 地域政策を学ぶ 第15回 課題・採点基準・出題意図・所感

高崎経済大学地域政策学部のリレー講義「地域政策を学ぶ」(専門導入A)の第15回(1月20日を担当しました(今年度はオンデマンドの講義)。地域政策学部では「地域リーダー」の育成を掲げていることから、経営学の中でも「リーダーシップ」というテーマを選びました。

人数が多くて採点は大変でしたが、提出された課題を読んでいて私自身も勉強になりましたので、課題の採点基準・出題意図・所感を記します(講義で取り扱った主な内容は末尾に記載しています)。

課題

これまでに自分がリーダーシップを発揮した経験について、講義に登場する内容2つ以上に言及しながら、どのような場面でどのようにリーダーシップを発揮したのか、また、なぜそれがうまくいったのか(あるいは、うまくいかなかったのか)を説明してください。このフォーマットを用いてA4一枚以内で作成し提出してください(書式を変更しなければおそらく最大800字強程度)

採点基準

ほぼ問題文の通りですが、下記の5点のそれぞれを満たしているかが評価基準です(0、1、2、3、4、5の6段階評価)。もちろん、適切に自分の経験を説明できていなかったり、講義で取り扱った内容の理解・適用が明らかに間違っていたりすれば、その項目を満たしません。また、経験の成否や発揮されているリーダーシップの程度などによって評価が左右されることはありません。

  1. どのような場面でどのようにリーダーシップを発揮したかが説明されている。
  2. なぜうまくいったかについて説明している。
  3. 上記の内容に絡めて、講義で取り扱った内容に適切に言及している(1つ目)。
  4. 同上(2つ目)。
  5. プラスアルファの加点項目(より多くの内容に言及している、複数の事例を比較している、経験から教訓を引き出している、など。この項目は定型的でなくやや主観的な項目です。)

出題意図

自分の経験という現実の事例に対して学んだ内容を適用することを通じて、理解を深めることが目的です。現実の事例に理論を適用して考える練習にもなりますし、(課題の中で言及してくれている人もいましたが)自分のリーダーシップに関する持論を意識・言語化したり鍛えたりするための機会にもなります。

リーダーシップについて学ぶ際の最終的な目標は、実際にリーダーシップを発揮できるようになることですが、その前段階としての準備になるのではないかと思います。

所感

  • 多数の課題を読んでいて驚いたのは、リーダーシップに関わる良質な経験(成否は問わない)をしている学生が思った以上に多かったことです。
  • ただし、良質な経験をしていても、適切に振り返る機会がなければ自身の成長につながりにくいかもしれません(あるいは、適切に振り返る機会を持つことで、より成長につながるという言い方でもいいかもしれません)。その点で、対面授業の最後の10分間でリアクションペーパーに書いてもらうのではなく課題としてそれなりに時間をかけて振り返ってもらえたことはとても良かったと思います。また、講義内容に言及してもらうことは、学んだ内容について理解を深め使ってみる機会を得るという点だけではなく、自身の経験をどのように振り返るかという枠組みを与えてくれるという点でも良かったと感じました。
  • 採点をしていて気づいたのは、自分の経験を説明できるということは、就職活動やゼミ募集などの選考の場面でも必要となる能力(本当は日常的な様々な場面でも必要)ということです。その良い練習になりそうだと思いました。一般的な場面では、リーダーシップの用語・理論のような大学で学んだ用語・理論を使うことは少ないでしょうが、そういった用語・理論が現実を捉えて理解する際に役立てられると良いなと改めて感じました。
  • もちろん、自分の経験だから把握しやすいし関心を持ちやすいということが出題意図にはありました。

講義で取り扱った主な内容

  • 経営学・組織論と地域
  • リーダーシップの定義
  • パワーベース
  • リーダーシップ研究の流れ(特性アプローチ→行動アプローチ→コンティンジェンシーアプローチ)
  • PM理論
  • 状況的リーダーシップ
  • フィードラー理論
  • リーダーシップの持論