2・3年生の第2回のゼミは、4・5限ともに図書館ホールで行いました。
今回は、ゼミ生によるゼミの活動で何をするかに関する話し合いがメインです。それだけで2時間、私が用意したその事前準備としてのディスカッションも含めると2時間以上ですが、それでも決まらないほどなかなか難しく、その分、様々な学びがある話し合いです。
この話し合い自体が組織の意思決定や組織内で起こるプロセスやリーダーシップやコミュニケーションについて。当事者として肌感覚で学べる機会です。
- 1. チェックイン
- 2. 今回のリアぺ担当
- 3. ラーニング・グループでリーダーシップ行動目標の共有
- 4. ゼミの活動を学生が考えるメリット・デメリット、教員が考えるメリット・デメリット
- 5. ゼミの活動に関する話し合い
- 6. 集合写真撮影
- 7. ラーニング・グループで各自のリーダーシップ行動目標の振り返り
- 【おまけ】若林のリーダーシップ行動目標と振り返り
1. チェックイン
前回休んだ人の自己紹介も交えつつ、何か話したい人だけが話したいことを話すチェックインをしました。
チェックインのことをスペースチェックと呼ぶ場合もありますが、まさにいまこの空間がどのようになっているかをみんなで確認します。
2. 今回のリアぺ担当
今回のリアぺでリアぺ担当となる人を決めました。
リアぺ担当は、担当回のリアぺでみんなへの質問を用意します。どのような質問でも良いですが、普段の雑談で聴けるような内容よりも、その人のことをより深く知ることができるような少しだけ踏み込んだ質問が望ましいです。
3. ラーニング・グループでリーダーシップ行動目標の共有
前回決めたラーニング・グループで、各自のリーダーシップ行動目標の共有をしました。毎回のゼミがどのように進むかはわからない部分もあり、特に2年生は設定しづらい部分もあるかと思いますが、うまくいかないことも含めて自分なりの目標設定の試行錯誤をしてもらえればと思います。
4. ゼミの活動を学生が考えるメリット・デメリット、教員が考えるメリット・デメリット
ゼミの活動をみんなで話し合ってもらうに前に、ゼミの活動を学生が考える場合のメリット・デメリット、教員が考える場合のメリット・デメリットを話し合ってもらいました。すべては書ききれませんが、下記のようなものが挙がりました。
<学生が活動を考えるメリット>
- 企画、スケジューリング、優先順位付け、リーダーシップなどの能力が身に付く。
- 主体性が生まれ受け身にならない。
- やりたいことができる。納得感がある。
- 1人ではできないことができる。
- 多様な意見があり、話し合うことが相互理解にもつながる。
<学生が活動を考えるデメリット>
- 話し合いや意思決定に時間がかかる。まとめるのが難しい。
- 計画が不透明で見切り発車となってしまうかもしれない。失敗しやすい。
- 高いモチベーションや責任感が求められる。誰かが何かを言い出さないと始まらない。
- 学生の限られた視点のみになってしまう。役立つ能力が身に付くかわからない。
<教員が活動を考えるメリット>
- 教員の専門性や人脈を活かして、学生ではしなようなことができる。
- 目標や計画がある一貫した活動ができる。
- 活動を決める話し合いに時間がかからず、より多くの活動ができる。
- 強制力があるため、逆に高いモチベーションが必要ないかもしれない。
<教員が活動を考えるデメリット>
- やらされ感が生まれたり、モチベーションが下がったりする。
- 学生のやりたいことができない。
- 受け身になり主体性がなくなる。話し合いの時間も減少し、思考停止になってしまう。
そして、なぜ若林ゼミでは学生がゼミの活動の約半分を自分たちで話し合って決めて実行するようにしているのかの下記のような意図や理由について、夏休みの課題(2)で取り扱った「eラーニングと情報社会」や「eラーニングと自己管理学習」の内容も絡めながらお伝えしました。
- 組織の意思決定、話し合いの方法、リーダーシップなどを、当事者として肌間隔で学んでもらうこと。
- 何のために何をなぜやるのかといった、目的やコンセプトを考えられるようになること。
- 自分(たち)の「やりたいこと」や「やるべきこと」が何であるかについて、向き合ってもらうこと。
- 成人学習として自己主導的な学習をしてもらうこと。
- 自分の「やりたいこと」や「やるべきこと」を考えることが、自ら学び続けるという要素も含めて、キャリアにつながること。
- 情報社会の中で、必ずしも教員を介さずに、自ら情報を獲得し相互に関わり合って学ぶ方法を経験し身に付けて欲しいこと。
5. ゼミの活動に関する話し合い
およそ2時間をかけて、今学期のゼミで何をするかについて、ゼミ生による話し合いが行われました。
先週の立候補者が準備をしてきてくれており、今学期に輪読する予定の『話し合いの作法』も自発的に参考にしながら話し合いのフェーズを分けつつ、まずは各自の意見や考えへの意見を深めつつ、ゼミとしての目標設定をするという方向性で話し合いが進められました。
私としても、こういう形で話し合いが進むのか~と感心しました(事前に何か予想していたわけではないですが)。また、本人たちに言わせれば伸び代はいくらでもあるのでしょうが、話し合いの進め方や途中での発言や質問など、かなりうまい部分もあったと感じます。
【所感】
- 「組織の目標を決めてから何をするかを決める」というアプローチは、こういう機会がないと自分(たち)で考えたり実践したりする機会はそれほどなく、重要な学びの機会なのかなと思いました。堅苦しく窮屈な部分もありますが、一定以上の人数規模の組織で一貫性のある活動する上では、必要なことかもしれません。
- 一方で、「やりたいことをやる」という側面を切り取るのであれば(この側面が重要かはわかりませんが)、もっと違うアプローチもありえるかもしれません。時間のかかる話し合いなんて待ってられないとばかりに、1人で、あるいは、メンバーを募って、さっさと「やりたいこと」に取り組み始めるという手もあります。そういう動きがあると、そこについていくフォロワーも生まれるでしょうし、残った人数も少なくなるので話し合いも進みやすくなるかもしれません。ひょっとしたら、「みんなで足並みをそろえる」ということと「やりたいことをやる」ということには、相反する部分もあるのかもしれません。自分(たち)の「やりたいこと」をやる際に、その組織(若林ゼミ)内でやることがベストであるかどうかも考えてみないといけません。
- 「やりたいこと」をどの程度本気で「やりたいのか」という問題もあります。誰かに「やりたいこと」について話し合う場を設けてもらってはじめて考え始めたり出てきたりするものは、実は受け身な部分もあり強く「やりたいこと」にはなりづらいかもしれません(そうではないこともあります)。個人的には、「やりたいこと」や「やるべきこと」に向き合ってもらうことは重要だと認識していますが、それがいまは見つからなかったという結論でも良いと思っています。無理して(ある意味自分を偽って)、「やりたいこと」や「やるべきこと」をひねり出す必要はないということです。
- 以上のようなこともあって、今回のリアぺでは有名な「裸の男とリーダーシップ」の動画を見てもらいました。この動画から得られる教訓は様々ですが、「最初に踊りだした人も、最初のフォロワーも、一定のリスクを取る程度の強さでは踊りたいと思っている」(はず)という点に今回は注目したいと思います。
- 教員としては「やりたいこと」「やれること」「やるべきこと」はいくらでもあり、時間はいくらあっても足りない状態なので、「何かやってください」と言ってもらうこともウェルカムです。
- 上記とは別に、2年生はいきなりこういった話し合いがあるのは大変だろうなと思いました。一方で、組織や組織のメンバーに対する理解は深まりやすいのかもしれません。
- よくよく考えてみると、卒業後に働き始める職場であっても、学校や部活・サークル・学生団体・アルバイトなどであっても、最初は何もわからないまま飛び込む新規参入者です。既存メンバーと新規参入者の比率や所属年数の違いはありますが、実は似たような経験である部分もあるのかもしれないと思いました。
6. 集合写真撮影
全員が集まれる機会はなかなかないということで集合写真の撮影が企画されていましたが、残念ながら1人お休みとなってしまいました。人数が多いとなかなか全員が集合するのは難しいですね。
7. ラーニング・グループで各自のリーダーシップ行動目標の振り返り
各自による連絡事項を済ませた後に、最初にリーダーシップ行動目標を共有したラーニング・グループで、各自のリーダーシップ行動目標を振り返ってもらいました。自身で振り返るほかに、フィードバックも行われていたようです。
【おまけ】若林のリーダーシップ行動目標と振り返り
- 意図を明確かつ分かりやすく伝える。
- 7点。ゼミ生がゼミの活動を考えることにしている意図を伝えたことを中心に、意図を伝えるように心がけた。ただし、明確かつ分かりやすいかは不明であり、時間が不足してい駆け足になってしまった部分があった(→きちんと考えをまとめてブログにアップしておくと便利かもしれない)。
- 話し合いの際は、コンテンツに入らない。ただし、プロセスには1回以上介入する。質問はウェルカム(質問された場合は、コンテンツについて話しても良い)。
- 10点。コンテンツには立ち入らず1回の介入を行い質問はしてくださいということを伝えたので、一通り達成した。
- それ以外の内容については、簡潔に話して、時間的にコンパクトで成果の高いものを目指す。
- 7点。前半の予定の時間を超過しつつも、全体としては時間を守れた。急げばよいわけではないので、活動の取捨選択や非同期の利用が重要である。