若林隆久@経営×教育×地域×育児

高崎経済大学地域政策学部准教授の若林隆久のページです。経営学、組織論、ネットワーク論を専門とする研究者・大学教員が、研究、教育、学内外での活動、本・論文、地域、子育て、などについて書いていきます。

2019年度 経営分析・若林 期末試験

2019年度の経営分析(若林)の期末試験(2020年1月27日3限実施)の問題・正答例は下記の通りです(Ⅳ以外は赤字で正答例を示しています。問題②よっては別解や部分点もあります)。なお、講義の内容に基づいた出題になっており、例えばROA流動比率など複数の計算方法が存在しているものは、講義で説明した計算方法に従っています。何かしらお気づきの点がありましたらご連絡頂ければ幸いです。

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Ⅰ.次の各文章中の空欄にあてはまる語句を、Gについてはカタカナ、それ以外については漢字で、答えなさい。

① 企業外部の利害関係者への報告を目的とした会計のことをA財務会計、企業内部で経営に役立てるための会計をB管理会計、と呼ぶ。

② 長期間にわたって使用する資産は、その使用する期間であるC耐用年数に渡って費用を案分する。これを減価償却という。

流動資産と固定資産、流動負債と固定負債を分ける基準としては、E一年基準とF営業循環基準がある。

自己資本比率を下げることによってROEの値を高められることを、「レバレッジを効かせる」と表現する。

⑤ 企業の活動にはインプットとアウトプットがあり、アウトプットとインプットの差額であるH付加価値は企業が独自に創り出した価値を表す。

⑥ 1人の1時間あたりの仕事量をI人時(工数 という。

 

Ⅱ.次の各問題に答えなさい。

① 次の商品を販売する場合の損益分岐点を求めなさい。商品1個あたりの売価は300円、1個あたりの限界利益は50円である。固定費は80,000円である。

 固定費80,000円÷商品1個あたり限界利益50円=損益分岐点販売個数1600個
損益分岐点販売個数1600個×販売価格300円=損益分岐点480,000円

② 次の二種類の商品を販売する場合の損益分岐点を求めなさい。商品Aと商品Bの二種類の商品を販売する。商品Aについては、1個あたりの売価は200円、1個あたりの変動費は100円である。商品Bについては、1個あたりの売価は300円、1個あたりの変動費は250円である。固定費は60,000円である。なお、商品Aの販売数と商品Bの販売数は1:1であると仮定する。

商品の販売数が1:1なので、商品Aと商品Bを1個ずつセットで売っていると考える。すると、1セットあたりの販売価格は500円(200円+300円)、1セットあたりの変動費は350円(100円+250円)である。
1セットあたり販売価格500円-1セットあたり変動費350円=1セットあたり限界利益150円
固定費60,000円÷1セットあたり限界利益150円=損益分岐点販売セット数400個
損益分岐点販売セット数400個×1セットあたり販売価格500円=損益分岐点200,000円

③ 割引率を10%とした時、1年後の220万円の正味現在価値を答えなさい。

割引率が10%(0.1)なので、1年後のお金の正味現在価値は1.1(1+0.1)で割ることによって求められる。
220万円÷1.1=200万円

④ 現時点で、400万円の投資をすると、1年後に300万円、2年後に400万円、3年後に500万円の収益が得られる投資案件がある。この投資案件の(A)投資収益率(ROI)と(B)回収期間を求めなさい。

【(A)投資収益率(ROI):300%】
収益総額1200万円÷投資額400万円×100=投資収益率300%

【(B)回収期間:1.25年
1年後に300万円の収益を得た後に回収できていない投資額は100万円(投資額400万円-1年後収益300万円)である。
2年後の収益が400万円であることから、この100万円は0.25年(=100万円÷400万円)で回収すると考えられる。
よって、回収期間は1.25年

Ⅲ.次のB/SとP/Lの値をもとに、イ.自己資本比率、ロ.ROA、ハ.ROE、ニ.売上高営業利益率、ホ.流動比率、ヘ.固定比率を計算しなさい(すべて%で回答すること)。

イ.自己資本比率:25%
自己資本200万円÷総資本800万円×100=25%

ロ.ROA:25%
売上高から売上原価と販管費を引き、営業外収益を足して営業外費用を引くと経常利益
経常利益=売上高1000万円-売上原価600万円-販管費150万円+営業外収益100万円-営業外費用150万円=200万円
経常利益200万円÷総資本800万円×100=25%

ハ.ROE:20%
当期純利益40万円÷自己資本200万円×100=20%

ニ.売上高営業利益率:25%
売上高から売上原価と販管費を引くと営業利益
営業利益=売上高1000万円-売上原価600万円-販管費150万円=250万円
よって、
営業利益250万円÷売上高1000万円×100=25%

ホ.流動比率:200%
流動資産400万円÷流動負債200万円×100=200%

ヘ.固定比率:200%
固定資産400万円÷自己資本200万円×100=200%

Ⅳ.下記の問いにそれぞれ3行以内で答えなさい。

① 発生主義について3行以内で説明しなさい。
② 総資産回転率について3行以内で説明しなさい。
③ 営業活動によるキャッシュフローがマイナス、投資活動によるキャッシュフローがプラス、財務活動によるキャッシュフローがプラス、である企業の状況や立ち位置について考えられることを、3行以内で説明しなさい。