若林隆久@経営×教育×地域×育児

高崎経済大学地域政策学部准教授の若林隆久のページです。経営学、組織論、ネットワーク論を専門とする研究者・大学教員が、研究、教育、学内外での活動、本・論文、地域、子育て、などについて書いていきます。

海外研修支援事業(海外フィールドワーク)に関する注意事項(若林ゼミ版)

若林ゼミでは大学の海外研修支援事業を利用して海外研修(海外フィールドワーク)を実施することがあります。若林ゼミで実施する海外フィールドワークについて誤解もあるようなので、制度を理解したり参加に関する意思決定をしたりする上での注意事項をまとめておきます(大学内の制度についてではありますが、あくまで若林ゼミ版です)。

ポイントを一言でいえば、「大学の海外研修支援事業を利用する必要はなく、海外フィールドワークに参加するかどうかはもちろん海外研修支援事業の利用の有無についても意思決定をする必要がある」ということです。

1.海外フィールドワークへの参加の意思決定

第一に、海外フィールドワークへ参加するかどうかは、お金やスケジュールも関わることですので、他のいくつかのゼミ活動と同様に各自が決定することになります。あくまで参加したい人が参加するということで、この点は問題ないと思います。

2.海外研修支援事業を利用するメリット、制約、義務、責任

第二に、こちらが重要なのですが、大学の海外研修支援事業を利用する場合には、もちろんメリットもあるのですが、必然的に制約も発生しますし、学生側にも教員側にも義務や責任が発生します。海外研修支援事業を利用するメリット、制約、義務、責任などを下記にまとめておきますので、よく読んで理解するようにしてください。

メリットは基本的には金銭的な補助が得られることでしょう(特に学生の場合)。それ以外にも、大学における活動としてオーライズされた上で、安全指導をはじめとした各種のサポートを受けられることも挙げられるでしょう。

制約、義務、責任についてはいろいろありますが、主要なものとしては下記のようなものが挙げられます。必ずしもデメリットとはいえない妥当な内容だと思いますし、個人的には何かを学び取りそれを適切に言語化する責任が生じるというのが最大のポイントではないかと考えています(実習日誌、学習成果報告書など)。金銭的な補助は少なくない金額ではありますが、ただみんなで海外に遊び・観光に行きたいだけであれば、海外研修支援事業を利用せずに計画するのもひとつの手だと思います。下記の制約、義務、責任を把握して意思決定をしてもらえればと思います。

  • 教員企画のフィールドワークとして、教員は条件を満たすように研修計画を立て実行する必要があります。そのため、行先や旅程については自由度が少なく、学生ではなく教員が責任をもって決定するということです。行先や旅程やその他の事項について、教員(若林)としてはみなさんのご事情・ご意見も極力お聞きしたいと思いますが、普段以上に自由度が低いかもしれないことはご了承ください。
  • 上記の通りですので、学生には定められた研修すべてに参加してもらう必要があります(体調不良ややむを得ない事由などで免除される可能性もありますが、大学側の判断をおあぐ必要があります)。基本的に「途中から」あるいは「途中まで」の参加はできません。
  • 申込書、調査書、誓約書、実習日誌、学習成果報告書などの事前・事後の書類提出やアンケート回答が課されます。
  • 大学指定の海外旅行保険に加入する必要があります。
  • 大学が実施する安全指導のセミナーに参加する必要があります。
  • 海外フィールドワークを実施する国への日本からの出国・帰国の方法や期間について制約が生じます(詳細は大学側に問い合わせてください)。海外研修の期間の前後の短い期間内に出国・帰国をしなければならないという点が、実施国やその近隣の他の国を見て回りたいと思った際には大きな制約となります。

3.では、ゼミで海外フィールドワークを実施する意義とは?

では、ゼミとして(すなわち、大学の海外研修支援事業を利用するかどうかにかかわらず、教員がある程度責任をもって企画する場合)海外フィールドワークを実施する意義は、どこにあるのでしょうか?

2023年時点での私の考えは下記の通りです。

まず重要な点は、ゼミの専門分野と関連するような学習経験を用意することにあるのだと思います。「ただみんなで海外に遊び・観光に行く」のと異なる点はここでしょう。場合によっては、同じことをするのであっても、そこから学ぶ機会や仕組みを作ることに意義がある。

もうひとつ重要かどうか悩ましい点としては、海外を経験をするきっかけ作りなのかなと考えています。あえて大学や教員が用意しなくてもそういったきっかけや機会は世の中にたくさん転がっていますが、一方で、自身の所属するゼミや大学の制度として機会提供がなされることが海外を経験する後押しとなることは重要ななのかもしれません。ただ海外を経験してみるというだけで、大いに刺激を受け成長できる機会となりえます。